研究室案内

教授挨拶Greetings from Professor

 京都大学iPS細胞研究所 金子新研究室official siteに御訪問頂きありがとう御座います。私たちは、ヒトiPS細胞より再生したTリンパ球をはじめとする様々な免疫細胞を駆使し、革新的医療技術開発に情熱を注いでいます。
 私たちの研究は、HIV感染患者様由来iPS細胞を使用して、HIV抗原特異的キラーT細胞のクローン化成功に端を発します。近年、がん細胞を攻撃するCAR-T細胞療法が一般化しつつある中、私たちは、患者様自身のiPS細胞より再生した免疫細胞にCAR分子を導入し、安価で無尽蔵かつオーダーメイドの医療用CAR-iPS免疫細胞の提供を目指しました。現在、私たちの研究は実用段階に進み、治療困難ながんに苦しむ患者様へのCAR-iPS-NK/ILC医療やCAR-iPS-T細胞医療の提供が現実のものとなりつつあります。これら成果には、様々な公的機関や企業の方々の御協力が不可欠でした。全ての関係者様に、この場より深謝申上げます。金子研では、今後も多くの機関・企業の方々と密に手を携えながら、医療用iPS免疫細胞の性能向上と安定供給体制確立に努めるとともに、あらゆる再生免疫細胞について医療応用の探求に注力してまいります。
 本HPをご覧の皆様におかれましては、私たちの研究進展・成果を共有できますこと、心より歓迎申上げます。私たちは透明性と共感を大切にし、最新情報を提供してまいります。疑問や質問が御座いましたら、どうぞお気兼ねなくご連絡ください。皆様の御関心と御協力が何よりの御支援と理解し、未来医療に寄与する推進力と致します。私たちの活動が、全ての患者様と御関心をお持ちの皆様にとり、未来を照らす光となれるよう、誠心誠意努めてまいります。

主任研究者 金子 新

研究所概要Institute Overview

01 iPS細胞からのヒト免疫細胞再生研究

京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門 金子新研究室では、臨床用ヒトiPS細胞を用いたヒト免疫細胞再生医療に関する研究を行っています。
概要は以下の動画を御覧下さい。

02 iPS免疫細胞・免疫再生による
疾患の制圧を目指す

 当研究室では、iPS細胞の特性を生かした免疫再生治療の実現に向けた研究を行っています。中心的には、Tリンパ球に焦点を当て、iPS細胞からの再生・活用手法を開発しています。
 Tリンパ球は標的細胞を認識し攻撃する免疫機能を担っています。多くの細胞機能は、遺伝子配列をそのままにそのon/offが切替えられますが、Tリンパ球が標的抗原を認識するT細胞受容体(TCR)は、Tリンパ球の遺伝子配列そのものが組み変わるため、Tリンパ球は1個につき1種類のTCRしか持ちません。このTCR遺伝子は初期化しても保存されること(T-iPS細胞)を利用し、抗原特異的なT細胞を大量に再分化誘導する手法を確立しました(2013-3, 2021-5)。この技術を臨床応用するため、HLAホモドナー由来iPS細胞に疾患特異的TCR遺伝子を導入し、様々な患者に対応できる抗原特異的Tリンパ球を製造することに成功しました(2018-2)。
 さらに、製造工程の改良や動物由来成分を含まない環境での培養、キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子の導入などを組み合わせ、iPS細胞由来のCAR-Tリンパ球を複数の患者に供給できる可能性を示しました(2021-1,2021-7,2023-1)。加えて、iPS細胞の免疫原性を低減させる手法を用い、少数のiPS細胞で多様なTリンパ球を製造する可能性も示されています(2019-9,2021-6)。
 これらの研究成果は一部が企業に導出され、臨床開発が進んでいます。当研究室では、他のリンパ球サブセット(2016-4)や、Tリンパ球に限らず、NK細胞(2018-5,2020-3)やマクロファージ(2018-3,2021-4)など他の免疫細胞の再生法も研究し、がんや感染症、自己免疫疾患、移植医療など様々な治療に貢献できる可能性を模索しています。これらの研究を通じて、再生医療の実現化と治療成績の向上に寄与することを目指しています。

※(西暦-番号)は、研究活動ページの論文業績と対応しています。

03 臨床応用を目指した、
抗原特異的キラーT細胞の再生

金子研の研究は、教授:金子新が、東京大学医科学研究所・幹細胞治療分野(中内啓光教授)在職中にHIV感染症患者様からHIV抗原に特異的なキラーT細胞をクローン化してiPS細胞を樹立し、そしてそのiPS細胞から再びHIV抗原特異的なキラーT細胞を大量作製することに成功した研究に始まります(2013-3)。再生したT細胞は、AIDSの原因ウイルス抗原ペプチドをHLA分子上に提示した細胞を特異的に傷害し、また、再生したT細胞のテロメアは元のT細胞より長くなっていました。これは、患者様のT細胞が治療に有用な細胞に若返ったことを示しています(2013-3)。この成果を早期の臨床応用に結びつけるべく、当研究室では様々な腫瘍抗原やウイルス抗原に特異的なキラーT細胞クローンからiPS細胞を樹立し、そこから再分化誘導したキラーT細胞の治療効果を高める研究を行っています。


免疫再生治療(Regenerative immunotherapy)の概念図
疲弊した抗原特異的なT細胞をiPS細胞を介して再生し治療に用いる。

本研究が掲載されたCell Stem Cell誌の2013年1月号の表紙
右上:テロメアを表すロウソクが短くなり、弓を下ろした老女
中央:ロウソクは長くなり、若返って再び弓を構える女性
着物には日本語で「T細胞」の文字が。
なお、和服で弓を引く際は、襷を捌き、長髪は左または後ろでまとめましょう。

共同研究についてJoint Research